top of page

外国人留学生から外国人労働者へ

  • 執筆者の写真: 和ライフマネジメント
    和ライフマネジメント
  • 2020年1月18日
  • 読了時間: 4分

専門学校で「簿記」を教えていますが、担当クラスの中に母国語に漢字を使わない生徒たちのクラスがあります。皆さん一生懸命に日本語を覚え、漢字・カタカナ・ひらがなを勉強し入学してきました。

日本語を勉強していても簿記に必要な会計用語は読み方も難しく、漢字も多くて悪戦苦闘。

4月には数字の書き方から学習して、今では仕訳も決算整理もできるように。


その生徒を受け持つことが決まった時に最後の授業には必ず取り入れようと思ったことがあります。

それは2年間の学生期間を終えて、今春から働きだす彼らに

「納税義務」と「社会保障制度」を伝えること。

彼らが就職し、給与を受け取るようになるとおよそ25%の税金と社会保険料を引かれることになります。

一生懸命に働いた給与の4分の1を支払うのですから、それが何に使われるために引かれるか(正しくは「控除」されるか)を知る必要が彼らにはあります。


健康保険料の説明では、

「私の国は税金が高くて、その分医療費が掛かりません」というスイスの女の子や

「僕はアメリカみたいに病気になった時でも自分で備える方がいい」と考えるベトナムの男の子も居ました。私も彼らの国の制度や意見を聞くことは大変勉強になります。

出産手当金や出産育児一時金の話をすると「私の友人が日本の会社に勤めていて、母国に帰って赤ちゃんを産んで戻ってくるのですが貰えますか?」と質問もありました。


厚生年金保険では退職後の「老齢年金」にばかり目が行きますが、「障害年金」や「遺族年金」を知り、永住を考えている子は必死にメモを取り、いつかは母国に帰ろうと思う子もメリットを感じてくれました。

母国に帰ったとしても、いつか日本に戻ってくるかもしれない。その時に10年間の保険料納付期間があれば老齢年金を受給できるかもしれないので「年金手帳」は必ず大事に残しておいて欲しいと、いつかは帰ってきて欲しい伝え、最後は「労働三法」の話をしました。


日本で働いて万が一不当な扱い、不公平な扱いを受けたときは、どのような法律が彼らを守ってくれるか。


勿論、「調和」や「助け合い」の必要性も含めて。


レジュメの最後に私はこのようなことを書かせていただきました。

(かなり長くなりますが)

『留学生の皆さんへ・・・

厚生年金は一番大きな目的は、将来 歳をとって働けなくなった時の収入となる「老齢年金」です。

しかし、皆さんの中には将来、「母国に帰るかも」と考えている方もいるかもしれません。

将来、母国に帰るのであれば老齢年金は受け取ることはできなので、厚生年金に入りたくないと考える人もいるでしょう。

でも、厚生年金はその他にも万が一、大きなケガや病気になった時に生活を支えてくれる障害年金、皆さんに万が一のことがあった時に悲しむ家族を支える遺族年金があります。

厚生年金保険料を払うことは決して無駄ではありません!

また、日本の国は折角日本に来て働いてくれた皆さんが歳をとってからも日本に住み続けて年金を受け取りながら、楽しく暮らして欲しいとも願っています。

日本に住んでいる限り、健康保険に加入する!年金保険料を納める!ことは義務です。

義務を果たしで納めるのですから、どのような時に受け取れるのかも知っておいてください。

社会保険のない会社もありますが、その場合は市役所に行き、自分で手続きをして国民健康保険、国民年金に入らなければいけません。

社会保険のある会社に勤めれば簿記で学習したように皆さんの支払う保険料と同じ金額を会社も負担してくれています。皆さんは倍の金額を払っていることになり、将来もらえる金額も増えます。もらえる内容も健康保険・厚生年金は手厚い内容です。社会保険は会社が皆さんに「見えない給料」を払っているのと同じです。「社会保険料を払っていると給料が減って嫌だなぁ」と考えず、「会社はこんなにも自分を大事にしてくれている」と考えて頑張って働いてください。』


日本は超少子高齢化を向かています。外国人労働者の力を借りなければ経済は回らない部分もあります。

しかし、それは「日本人のために外国人が働く」のでありません。


日本人と共に外国人が働く

日本人と同じように生活が安心・安定できる


希望に満ちた今の彼らの気持ちが消えることなく、日本をもっと好きになって欲しい。

そう思い、最後の2回の授業は一年で一番熱の入った授業になりました。


追伸・・・

私がこのような授業を行ったことを知った日本人クラスの生徒から

「私たちもそういうこと知りたかった。会社説明会で『確定拠出年金』て聞いたけど、先生それなに?」と言われました。

来年のシラバスには全2年生のクラスでこのような話をできるよう考えたいと思います。


頑張れ!みんな。



 
 
 

Comments


記事: Blog2_Post
bottom of page